回復期リハビリテーション病棟は入院基本料が①~⑥まで分かれています。
①が一番高く ⑥に向かうに連れて安くなっていく。
①の基準をクリアしている病院が、一番高い診療報酬を算定できます。
そのため病院は収益を高める為、入院基本料①を目指します。
その中で求められる基準の1つが「在宅復帰率」。
今回は在宅復帰率の定義と、なぜこの数値が重要視されるのかを見ていきましょう。
■なぜ在宅復帰が求められているのか
理由は単純。お金です。
国は医療、介護に対する負担を下げたい(国=市町村、都道府県を含みます)。
「医療・介護に関する国の負担」が年々高くなっていることは周知の事実です。
施設入所・病院へ入院している人は、国としてもお金が非常にかかります。
そのため国としては、なるべく多くの人に在宅で生活をして欲しい。
在宅で生活が出来なくなる場合、多くは病気や怪我に起因します。
在宅へ戻れるように支援できる病院を国は評価したい。
在宅復帰率は、それを評価するための物差しの1つとして生まれた背景があります。
■ 在宅にカウントされる退院先(※①)
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自宅
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家族の家
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有料老人ホーム
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ケアハウスなどの住居系
- 介護医療院
- 特別養護老人ホーム
■在宅にカウントされない退院先(※②)
■分母から除外される退院先(③)
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急性期治療を目的とした転院や転床
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死亡退院
- 病名対象外で入院してきた患者
■計算式と在宅の定義
上記を踏まえて計算式を書く場合、
在宅復帰率(%)= ①へ退院した患者数 ÷(退院患者総数 − ③の除外患者数)×100
となります。
入院基本料①を算定する場合、求められる数字は70%。
数字は単月計算ではなく、6ヵ月平均です。
1月80% 2月60% 3月70% のように単月で70%を下回っても、6ヵ月の平均がクリア出来ていれば問題ありません。
それでは、最後に「在宅とは何か?」を考えてみましょう。
素人目には「自宅」だけに思えますよね。
個人的な意見も含みますが「①住民票を移せるか ②一時的な住まいでは無いか」を見ています。
自宅、家族宅は誰が見ても在宅なので、説明から除外します。
サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、特別養護老人ホームは住民票を移すことが出来ます。
これらは、上記施設が「一時的な入所先ではなく、長期で過ごす生活の場所=在宅のような場所」であることを示しています。
介護老人保健施設は終身ではなく、3ヵ月ごとに退所を検討する施設。
医療療養型、障害者病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟などは病院。介護老人保健施設、病院に住民票を置くことは出来ません。
特例に見えるのは「介護医療院」。
2018年に介護療養型医療施設から転換した施設です。
病院ほどの医療は提供しないが、介護老人保健施設・特別養護老人ホームよりは医療に手厚い中間の施設。
実際は、重度の人が入院している慢性期の病院です。
現場の人間からすると、在宅らしい雰囲気はゼロです。
他の在宅系の退院先との共通点もありません。
一般的に言われているのが「転換をスムーズに行う為、病院にとってメリットが大きい『在宅』の扱いにした」ですね。
転換が中々進まない中、病院にとってメリットを大きくすることによって転換を促した。
遠くない未来、介護医療院は「在宅」から外れるだろうと言われ続けています。
今日は在宅復帰率についての勉強でした。
国が求めているのは「在宅での可能な限り自立した生活」。
これが国のお財布に一番優しい。
数字が求められている場合、必ずそこには設定した思惑や理由があります。
数字だけを見るのではなく、それが生まれた背景も見ていけるようになりたいですね。


