子ども!仕事!親!医療ソーシャルワーカー苦悩の日々

41歳医療ソーシャルワーカーです。仕事に関わる情報を皆さんと勉強できれば!

入院にかかるお金を考えてみよう

自分や家族が入院した際、病気の心配をしたいですが、脳裏を掠める不安材料。「入院費っていくらするんだろう?」

 

  1. 医療費、食事代(高額療養費)
  2. 室料差額
  3. パジャマ、タオル、オムツ、日用品など
  4. お茶、水
  5. 診断書代
  6. テレビカード、冷蔵庫代
  7. 交通費
  8. 装具費

思い当たるのはこれだけでしょうか。

1…自己負担額が一定額を超えた場合、国が超過分を負担してくれる。自己負担額は「年齢(70歳未満or70歳以上)、年収(所得区分)」によって決まる。保険料を納付していないと対象になりません。健康保険のお金は絶対に払って!

公費を持っている場合、自己負担額が更に減額される場合があります。公費の種類はいずれブログに書きます。

 

2…「自分・家族の希望」で部屋代のかかる病室へ入院した場合に必要。無料部屋を希望しているが、病院希望で個室へ入院している際は請求されません。希望していなくても同意書にサインすると請求されます。希望していない場合は絶対にサインしないこと。

 

3…全裸、手ぶらで入院継続は出来ません。日用品や衣服を自前で準備できない場合、業者を利用することになります。病院には外部委託でアメニティの会社が入っています。日用品を数百円/日、オムツを数百円/日で契約し、退院まで支払うことになります。日用品とオムツ両方を契約した場合、1日1000円近い出費になります。

 

4…持参の病院が増えています。コンビニは高いので、家族にスーパーで買ってきてもらいましょう。多くの病院に売店はありますが、コンビニ並みの高さです。

 

5…様式により価格が変わります。会社に出すタイプの診断書は2000~3000円程度。保険会社に出す診断書は4000~5000円が相場です。無料では書いてもらえないので要注意。

 

6…テレビカード、冷蔵庫は基本的に有料です。個室へ入院した際は、使い放題の病院もあります(部屋代に含まれているケース)。多床室の場合は使い放題の契約や、カードを買った分だけ使えるケースがあります。

 

7…主に家族が負担する交通費。お見舞いや医師からの説明など、病院に行く場合はお金がかかります。電車、バス、駐車場代など、塵も積もれば何とやらです。駐車場代は割引はあっても、負担ゼロは無いかと。だいたいの病院は入庫30分までは無料でしょうか。

 

8…コルセットや装具を作った場合に必要です。健康保険の適応ですが、一旦は10割の料金を支払う形になります。自己負担が3割の場合、7割が後から返ってくることになります。いわゆる「償還払い」。

例:10万円の装具を作る→最初に10万円払う→役所へ申請→7万円が後から戻ってくる

 

〇 まとめ

入院にかかるお金というと「医療費だけ」のイメージになりがちです。

しかし、実際に必要なお金は他にもたくさんあります。

健康保険の高額療養費は日本が世界に誇る制度ですが、それだけでは賄えない物があることを覚えておいてください。

「入院:1日5000円」のような生命保険に入っていれば、長期の入院にならない限りは、費用面で困ることは少ないかと思います。

そうでない場合は、突然の入院にも対応が出来るようにしっかり貯金しましょう。

1ヵ月入院すれば人によっては10万円近く、簡単にかかります。

健康に勝る投資・節約は無いとは、格言ですね・・・

親が突然、倒れた!その時にやるべきこと、しておくべきこと

40代にもなると、親も相応に年を取ります。

親が倒れての入院は、決してレアなイベントではありません。

確実にやってくるイベントに備え、心と物品と情報の準備をしておきましょう。

 

 

 

〇 普段から準備しておくこと

親と別に住んでいる場合でも、以下のことは最低限抑えておきましょう。

  • 健康保険の種類、各種保険証の片づけ場所
  • 介護保険の等級、ケアマネージャーの事業所と担当者、利用しているサービス
  • キーパーソン(親族の代表者)
  • 生命保険の有無、会社の名前
  • かかりつけの病院、直近の病歴、入院歴

多いと思うなかれ、これでも最低限です。

入院なので健康保険は当然。

入院中は介護保険のサービスが使えません。手続きのためケアマネージャーの連絡先。

病状説明や手続きを行う家族の代表者。

入院費が困難になった際に使う可能性がある生命保険の情報。

入院先から、かかりつけの病院へ情報提供を行うことがあります。「定期的に通院している病院・最近に入院した病院」「普段診てもらっている病名」があれば最強です。

 

〇 連絡が入って、病院へ向かうまで

まずは病院の住所を確認。出来るだけ早く向かいましょう。

交通機関の問題等ですぐに行けない場合は、病院へ「何時であれば行けるのか」を伝えます。自分がすぐに行けない場合、他に駆けつけることが出来る親族がいれば連絡を。

「保険証・印鑑・数万円の現金・薬手帳」があれば持参。緊急を要する場合は、後回しでも構いません。

 

〇 病院へ到着後、家族が聴かれること

① 治療、処置、DNARなど

親に意識が無い・正確な判断が出来ない場合(意識消失・認知症・パニック等)、病院側は家族に「治療や処置」について同意の有無を求めてきます。

緊急を要する場合、あまり考える時間は無い中で決定を求められます。

今聞かれて咄嗟に答えが出てこないのであれば、事前に親の意向を確認しておくことをお薦めします。

 

※ 事前に親と話し合っておくこと、確認しておくことの例

・ 口から食事が出来なくなった場合の対応

当たり前ながら、栄養が摂れなくなれば死にます。口以外から栄養を摂る方法は「鼻からの経管栄養、胃から直接栄養を入れる『胃婁』」が代表的です。経口摂取が可能になるまでの期間限定もあれば、意識が無い状態で半永久的になる場合もあります。親が寝たきりになった場合、どこまで強制的に栄養を摂らせるか。親族内で意見が分かれるケースも多いです。後から揉めない為、本人の意向を確認しておきましょう。

 

「Do Not Attempt Resuscitation」の略。心臓や呼吸が止まった際「心臓マッサージ・人工呼吸・気管挿管・除細動などの蘇生処置を行わない という意思決定を指します。

延命治療は病気を治すための行為ではありません。死にそうになっている状態を、人工的に死なせない行為です。ここでいる「死なせない」は「心臓が動いている」という意味です。

注意点:DNARを長期に求める場合、退院先に苦慮する可能性があります。退院先のほとんどが、このDNARに対応出来ません。自宅で最期まで看取る気が無ければ、施設や病院を探す際にDNARの意思表示をしておきましょう。お金に糸目をつけなければ別ですが。

 

「うちの親に限って大丈夫!」と言いたい気持ちは分かります。

何時までも元気でいてほしい親ですが、衰え・老い・病気は必ずやってきます。

親が倒れて入院するのは明日かもしれませんし、1時間後かもしれません。

親の願いを全てを叶えることは出来ませんが、意に沿わないことは避けてあげたい。

死にたいように死なせてあげる。これも家族の優しさ・親孝行です。

親と話しにくい話題ですが、勇気を持って話しましょう。

将来的に、親も自分も助けることに繋がります。

しんどいけどね・・・

 

回復期リハビリ病棟:在宅復帰率とは

回復期リハビリテーション病棟は入院基本料が①~⑥まで分かれています。

①が一番高く ⑥に向かうに連れて安くなっていく。

①の基準をクリアしている病院が、一番高い診療報酬を算定できます。

そのため病院は収益を高める為、入院基本料①を目指します。

その中で求められる基準の1つが「在宅復帰率」。

今回は在宅復帰率の定義と、なぜこの数値が重要視されるのかを見ていきましょう。

 

■なぜ在宅復帰が求められているのか

理由は単純。お金です。

国は医療、介護に対する負担を下げたい(国=市町村、都道府県を含みます)。

「医療・介護に関する国の負担」が年々高くなっていることは周知の事実です。

施設入所・病院へ入院している人は、国としてもお金が非常にかかります。

そのため国としては、なるべく多くの人に在宅で生活をして欲しい。

 

在宅で生活が出来なくなる場合、多くは病気や怪我に起因します。

在宅へ戻れるように支援できる病院を国は評価したい。

在宅復帰率は、それを評価するための物差しの1つとして生まれた背景があります。

 

在宅にカウントされる退院先(※①)

 

■在宅にカウントされない退院先(※②)

 

■分母から除外される退院先(③)

  • 急性期治療を目的とした転院や転床

  • 死亡退院

  • 病名対象外で入院してきた患者

 

■計算式と在宅の定義

上記を踏まえて計算式を書く場合、

在宅復帰率(%)= ①へ退院した患者数 ÷(退院患者総数 − ③の除外患者数)×100

となります。

入院基本料①を算定する場合、求められる数字は70%。

数字は単月計算ではなく、6ヵ月平均です。

1月80% 2月60% 3月70% のように単月で70%を下回っても、6ヵ月の平均がクリア出来ていれば問題ありません。

 

それでは、最後に「在宅とは何か?」を考えてみましょう。

素人目には「自宅」だけに思えますよね。

個人的な意見も含みますが「①住民票を移せるか ②一時的な住まいでは無いか」を見ています。

自宅、家族宅は誰が見ても在宅なので、説明から除外します。

サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、特別養護老人ホームは住民票を移すことが出来ます。

これらは、上記施設が「一時的な入所先ではなく、長期で過ごす生活の場所=在宅のような場所」であることを示しています。

 

介護老人保健施設は終身ではなく、3ヵ月ごとに退所を検討する施設。

医療療養型、障害者病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟などは病院。介護老人保健施設、病院に住民票を置くことは出来ません。

 

特例に見えるのは「介護医療院」。

2018年に介護療養型医療施設から転換した施設です。

病院ほどの医療は提供しないが、介護老人保健施設特別養護老人ホームよりは医療に手厚い中間の施設。

実際は、重度の人が入院している慢性期の病院です。

現場の人間からすると、在宅らしい雰囲気はゼロです。

他の在宅系の退院先との共通点もありません。

一般的に言われているのが「転換をスムーズに行う為、病院にとってメリットが大きい『在宅』の扱いにした」ですね。

転換が中々進まない中、病院にとってメリットを大きくすることによって転換を促した。

遠くない未来、介護医療院は「在宅」から外れるだろうと言われ続けています。

 

今日は在宅復帰率についての勉強でした。

国が求めているのは「在宅での可能な限り自立した生活」。

これが国のお財布に一番優しい。

数字が求められている場合、必ずそこには設定した思惑や理由があります。

数字だけを見るのではなく、それが生まれた背景も見ていけるようになりたいですね。

在宅療養あんしん病院登録システムとは?


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「在宅療養あんしん病院 登録システム」

京都独自のシステムだそうです。

先日初めて患者さんに聞かれましたが、ばしっと答えることが出来ませんでした・・・

存在自体は認識していたのですが、長年誰にも聞かれることが無かったので油断していましたね(汗)

今日は、自分なりに輪郭が分かるまで調べてみたいと思います。

知ったかぶりは今日でおさらばだ!!

 

① 目的

「在宅療養中の高齢者が体調を崩した際、事前に登録した病院でスムーズに受診・短期入院できるように」だそうです。

 

「長期の在宅生活」が念頭にあることが分かります。

国は高齢者に、出来るだけ施設へ入所せず、自宅で生活して欲しいと思っています。

理由は簡単。お金です。社会保険料。国からの支出を減らすため。

介護保険施設老健、特養、介護医療院)へ入所するよりも、在宅で介護保険サービスを利用して貰う方が、国が負担する金額は少なくなります。

病状の悪化・身体機能低下を早期に防ぐことが出来れば、在宅で生活出来る期間は長くなります。

その兆候が出たとき、対応に迷って時間を使えば悪化するリスクが生じる。

「事前に受診する病院や対応を決めておき、素早く対応しましょう」ということです。

 

② 対象者

京都府在住の65歳以上の高齢者

・訪問診療もしくは、かかりつけ医に定期的に受診をしている

病院通いが続いており、今後も半永久的に通院or訪問診療が必要な人が対象です。

普段元気で、何かあったときぐらいしか病院へ行かない人はお帰りください。

(@^^)/~~~

 

③ 利用方法

  1. 患者・かかりつけ医が事前登録を行う。申請書に入院希望先を記載(最大3病院まで)。登録できる病院は一覧から選択。どこの病院でも選べる訳では無い
  2. 体調を崩した・在宅での対応が困難になった時、かかりつけ医がまずは診察。

  3. かかりつけ医が「病院で診療を受ける必要あり」と判断したら、登録した病院へ連絡。病院側で診察し、入院の要否を判断する。入院の必要性が無ければ、かかりつけ医へその旨を連絡。必要であれば入院とする。

  4. 在宅チーム(ケアマネジャー・訪問看護等)、かかりつけ医、病院が連携して、早期退院・在宅復帰の準備を行う。

※ 対象外になるケース

  • 急性心筋梗塞脳卒中、骨折など「緊急性の高い病気・ケガ」 

  • 長期療養を目的とした入院(=慢性的・長期的な入院治療)も対象外

あくまで「一時的な体調不良」が対象

急ぎで手術等が必要なケースや、介護目的での入院を依頼する場合は、このシステムからは外れる。

「登録している病院に~」とか言っている場合では無いですよね。
早く救急車呼びなさい!!

 

④ 医療ソーシャルワーカーの目線での注意点

  • 対象外になるケースを頭に入れておく。
    「登録しているから!」で押し切られた場合、対応が出来るように。
  • 入院後、退院調整の流れを早期に組む。
    退院時期・調整が必要なサービスなど、関係者との連絡を早期に行う。
    退院のタイミングを逃すと、入院が長期化する可能性が高い。
    入院して3日以内には、今後のスケジュールを組みたい。
    長期入院にさせない努力が病院も必要。

ある程度分かった気がします。

自宅で生活したい人が、持ち直せるレベルで体調等が崩れた時。

致命傷になる前に病院で治療し、早期に自宅へ帰ってもらう。

その体制をあらかじめ作って、いつでも対応できるようにしておこう。

という感じですね。

 

住み慣れた自宅が1番ですよ。

帰りたいけど、どうしても帰れなくなる日はいつか来る。

その日が少しでも遅くなるよう、医療ソーシャルワーカーは全力で支援します!!

 

書評:バカの壁

自分の“壁”を自覚すること。それが真のコミュニケーションと成熟した思考の出発点である。


① 本書の要点

バカの壁」とは、自分の理解の枠を越える考え方を、無意識に遮断してしまう心の壁を指す。

政治、宗教、教育、医療などの議論で意見が噛み合わないのは、相手が“バカ”なのではなく、それぞれが自分の経験や知識の範囲内でしか物事を理解できないから。   

 

② 本書から得られるもの

「自分が壁の中にいるのでは?」と疑う気持ち。

対話が成り立たない原因を他人に求めるのではなく、自身の認識に原因を求める。

相手の認識、経験、見方を変えることは出来ない。

変えることが出来るのは、いつだって自分のみ。

自分の壁を意識して取っ払う。

 

③ 本書から得られるポイント

ポイント①情報選択バイアス

人間は、自分に都合のいい情報だけを受け取り、異なる意見を自動的に排除します。

例えば株を買った場合。株価が上がりそうなニュースはたくさん集めるが、下がりそうなニュースからは目を背ける。

 

ポイント②自分の認知

バカの壁」は相手だけではなく、自分の中にも存在する。

人間は自分の頭の中にある世界しか知りません。知識や常識が視野を狭めます。

成功しか経験が無い人は、失敗の経験が多い人の気持ちが分からない。

仕事に慣れ、経験を重ねるほど、自分の経験や視点に固執しやすくなる。

「正しい答え」を求めるあまり、型に嵌めて人や物事を見る習性がつく。

自分とは違う考え方や、不確実性を無意識のうちに排除してしまう。

書評:人は見た目が9割

「見た目じゃなくて、俺の内面を見てくれ!」

① 本書の要点

「見た目なんて気にしない!アナタの内面が好きなの!!」と言ってもらえるのは、二次元とラノベだけです。

全ての入口は外見から始まる。

自分が磨いた内面を相手に見てもらうために。

何から始めるべきか、この本から勉強してみました。

 

② 本書から得られる重要ポイント

ポイント①重用すべきは「非言語コミュニケーション」

  •  印象は言葉の内容よりも「見た目や声のトーン・話し方」に強く影響される。

  • 「姿勢、清潔感、表情、声の出し方、相手への向き合い方」

  • メラビアンの法則」では

    • 話の内容:7%

    • 声のトーンや話し方:38%

    • 表情や見た目などの視覚情報:55%
      とされており、非言語が全体の93%を占める

話の内容は7%に過ぎない。

相手に見せたいように振る舞えるか。

人は相手の外見から「信頼できそうか」「近づきたいか」などを無意識に判断する。

中身を判断するのは、この「無意識」を突破してから。

 

ポイント②日本人は非言語表現が苦手

  • 日本社会では「本音を隠す」「空気を読む」が文化。

  • その結果、「表情が乏しい」「感情が伝わりにくい」と感じられることも多い。

  • だからこそ、自分の見せ方や雰囲気を意識的に整えることが重要

欧米では意見をはっきり言うのが美徳だが、日本は奥ゆかしさが文化。

相手は言葉以上に、非言語情報を見て判断する。

自分が見せたい姿を演じられるか。

相手の姿勢から、どういった雰囲気を感じ取るか。

 

大きく見せたい → 足を開いて座る

自分の内面を覗かれず、相手を観察したい → サングラスかける

威厳を出したい → 髭を生やす

緊張していないように見せたい → まばたきを減らす、ゆっくり話す など

 

ポイント③見た目は“人間関係の入口”

  • 見た目で判断することを否定するのではない。
    見た目はコミュニケーションの第一歩であり、信頼を築くための手段。

  • 相手の印象を意識的に整えることが、円滑な人間関係の出発点となる。

  • 姿勢を正す、表情を柔らかくする、相手の目を見る、声に抑揚をつける。
    これだけで相手の受け取り方が大きく変わる。

  • 「見た目を整える」ことは、自分を偽ることではなく、相手への配慮。

 

自分は相手にどう見せたいか。

相手から自分はどう見えているか。

次に意識すべきは、非言語コミュニケーション。

イケメンにはなれないが、感じの良い40代にはきっとなれる。

目指せ、雰囲気いいやつ!!

 

ACP~アドバンス ケア プランニング~ どう生き、どう死にたいか

「どう生きて、どう死ぬか」

人は必ず死にます。

2025年時点、不老不死に至る方法は見つかっていませんし、エリクサーのように万病に効く薬も開発されていません。

明日死ぬかもしれないし、10年後に死ぬかもしれない。

これは誰にも避けて通れない道です。

 

死に至る直前、多くの人は意識がありません。

意識が無い=自分の意志を伝えることが出来ない。

自分の意見がはっきり言えるうちに「これからの治療や介護についてどうしたいか」を前もって考える。

そして話すことが出来なくなったとき、伝えて貰えるように事前に親族や関係者へ話しておく。

それが「ACP(エー・シー・ピー)」、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)です。

 

〇 具体的に何を話し合う?

① どんな治療を受けたいか、受けたくないか(延命治療、透析、胃婁など)

② 最期をどこで過ごしたいか(家?病院?)

③ 何を大切にしたいか(痛みをとる、家族と過ごす、家で死ぬなど)

 

医療ソーシャルワーカー目線で言うと、この3つが大きなポイントになります。

それぞれ見ていきましょう。

① どんな治療を受けたいか、受けたくないか

個人の価値観によって、捉え方は大きく変わります。

・人工呼吸器は使って欲しいが、心臓マッサージはいらない

・口から食事が出来なくなった時点で、経管栄養も胃婁も希望しない

・意識があるうちは全部して欲しい。意識が無くなれば何もしてほしくない 等々

 

人は漠然とでも、何かしらの死生観を持っています。

しかし近しい家族や関係者に伝えていない場合、それが反映されません。

 

急に病院へ搬送された時、あなたの意識が無いとしましょう。

家族はあなたの死が目前に迫った時、死に近づく選択肢を積極的に取れません。

(疎遠・関係性が非常に薄い等を除く)

意識が無いから食事が出来ない。意識が戻る可能性は低い。

① 経管栄養で鼻からチューブを入れて栄養を入れなければこのまま死ぬ

② 栄養を入れれば生命活動は維持できる

 

この状況になった際、ACPを事前に話し合っていなければ、家族が「自分の選択で死に向かう」①を選ぶことは非常に困難です。

間接的に死を容認する選択。

家族が自分だけの意見で決めるのは荷が勝ちすぎます。

しかも往々にして、こういった状況になった場合、考える時間は非常に限られます。

死に際を自分で選びたい、家族に無理な選択肢を迫りたくない。

そう考えるのであれば、しっかり意思表示が出来るうちに言葉や書面で伝えましょう。

それが自分、家族のためにもなります。

 

② 苦しくなったとき、どう過ごしたいか

いわゆる「どこで死にたいか」です。

難しく考える必要はありません。「家か家以外か」です。

住環境、家族の介護力、必要最低限の医療体制など。

クリアする条件は多々ありますが、それが整った場合に最後をどこで迎えたいか。

医療ソーシャルワーカーは最大限、それが叶うように動きます。

家族の意向があるので本人の意見だけでは決まりませんが、選択する材料にはなり得ます。

 

③ 何を大切にしたいか

・痛みを少なくして欲しい。

・家族との面会が多く出来る施設に入りたい。

・生まれ育った地域の施設で死にたい。

 

痛みを少なくして欲しいなら、疼痛緩和が出来る病院を探します。

面会を多くしたいのであれば、面会の頻度や時間が多く取れる施設を探します。

生まれ育った地域の施設を希望する場合は、指定された地域を中心に施設を探します。

何も希望が無ければ、あなたの意見は考慮されずに決まります。

大事にしたい「もの」があれば、必ず伝えておきましょう。

 

まとめ

  • どう生きて、どう死ぬかを元気なうちに考える

  • 家族や関係者に事前に伝えておく

  • 伝えた家族、関係者と良好な関係を築いておく

どうにもならないこの世の中。

生き様、死に様ぐらいは選びたい。

譲れない価値観があるのであれば、それを元気なうちに伝えておきましょう。

価値観は変わるので、定期的に見直すことをお薦めします。

家族に多大な負担が生じる案は、ダメですよ。

単純に嫌われます。娘、息子が全部介護する!!などは論外です。

自分の意向と家族の生活とすり合わせた案がベストです。

さぁ、元気なうちにノートに書いてみませんか?

自分で言いましょう。